20代の歯科技工士、離職率75%超
20歳代の歯科技工士の「離職率」が75%を超えていることが、日本歯科技工士会の調査で分かった。同会が厚生労働省の2007年度保健・衛生行政業務報告などを基に歯科技工士の免許交付数と就業者数を調べ、おおよその離職率を算出した結果、25-29歳で74.9%、25歳未満では79.0%となった。
東京歯科保険医協会理事で、歯科技工士の免許と実務経験を持つ森元主税(もりもと・ちから)さんは「低賃金と長時間労働などが原因。歯科技工士の新卒の月収は17万円ほどで、40歳代の平均年収も350万-400万円。特に新卒は泊まりでの業務も多く、自宅に週2、3日しか帰れない」と指摘している。また、現場では新人技工士へのOJTが事実上不可能であることや、単価の安い海外への歯科技工物の発注が増えていることも、離職率を押し上げている要因だといわれている。
調査結果によると、06年の25-29歳の就業者数は3291人で、この年齢層が免許を取得した1997-2001年に免許の交付を受けた人は1万3112人。日本歯科技工士会では、この差の9821人を「離職者」とみなし、「離職率」を算出した結果、前回調査の04年から4.9ポイント増の74.9%となった。
06年の25歳未満の就業者数は2417人で、この年齢層が免許を取得した02-06年に免許の交付を受けた人は1万1523人。同会では、この差の9106人を「離職者」とみなし、「離職率」を算出した結果、04年から0.2ポイント減の79.0%となった。
同会では、「免許を交付された人の中で、一度も歯科技工士として就業していない人がゼロとは断言できないため、正確な離職率とは言えないが、ほぼ実態を表した数字ととらえてもらってよい」としている。
歯科技工士の専門学校は全国に65校あるが、その大半が「定員割れ」している。3校が既に募集を停止しており、今後は閉校も増えていくとみられている。今年度は全国の募集総数に対し、応募は62%にとどまった。これは歯科医療界で「0.62ショック」と呼ばれ、深刻な問題となっている。
【歯科技工士】
歯科医師の指示によって、義歯など歯科技工物の製作や修理を行う医療技術者。歯科技工士学校を卒業し、国家試験を受けて合格すれば免許を取得できる。現在、全国に約3万5000人おり、歯科診療所に常駐する場合もあれば、独立して歯科技工所を開き、義歯などの製作を受注する場合もある。
更新:2009/01/22 22:48 キャリアブレイン
ergo at 2009年01月23日17:06
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